サイト内検索
以前に出版のお知らせ(「中国語おさらいドリル マーキングで覚える基本構造」)でもご紹介いたしました大塚順子(旧姓・木下)さん(大学日文科卒業、博士課程前期修了)が、第44回(平成24年度) 日展 第5科 書 の部に入選されました。今回で5回目の入選です。
入選作品は下記の日程で展示されておりますので、ぜひお運びください。
会場: 国立新美術館・3階・第22室ガラスケース内
会期: 平成24年11月2日~12月9日
入選作品:
大塚婉嬢(おおつか えんじょう)
題名:李白詩
縦32センチ、横325センチの帖作品ですが、展示されているのは部分(横50センチ)です。
巡回展スケジュール:
開催地 | 会期 | 会場 |
京都 | 平成24年12月15日~平成25年1月20日 | 京都市美術館 |
名古屋 | 平成25年1月25日~2月11日 | 愛知県美術館ギャラリー |
大阪 | 平成25年2月23日~3月17日 | 大阪市立美術館 |
福岡 | 平成25年3月28日~4月14日 | 福岡市美術館 |
富山 | 平成25年4月27日~5月19日 | 富山県民会館美術館 |
青森 | 平成25年6月15日~7月7日 | 青森県武道館 |
以下、ご本人からのコメントです。
《拙作の制作の意図と感想》
今年の作品も北魏の元楨(げんてい)墓誌銘をモチーフにしています。
今回は、昨年のものと違って横画のうねりを控えた表現にしています。
横画から続く縦画の極端な反りを少なくするためです。
ですがそのために精彩を欠いてしまったようにも思います。
《もし見に行かれる方がいらっしゃいましたら》
ぜひ事前に元楨(げんてい)墓誌銘をご覧になっていただき、元楨(げんてい)墓誌銘のどこを学び取ったのかを見ていただくとよいと思います。
なんとなく似ている、ここは似ている、ここは似ていない、などの見方で結構です。
元楨(げんてい)墓誌銘は楷書ですが拙作は行意を加えています。
運筆が速まると、行書に近くなるわけですが、そのことが独特のリズムを生み出し、変化に繋がります。
《書作品の鑑賞について》
作者は長年様々な古典を学び、そこに個性を加えて新しいものを作りだしています。
題材として、漢詩文や和歌、現代詩があります。
展覧会場に足を運んで下さる方の中には、読むことに主眼を置き、結局、読めるか読めないか、どんな意味のことが書かれているかだけを知ろうとする方が多くいらっしゃいます。それも一つの見方ですが、文学だけに興味をお持ちの方には書道展はあまりお薦めできません。決して読みやすくはないからです。そういう方は活字で書かれた書物を読んでいただくのが一番です。書展では読まずとも(読めずとも)感じるものを大切にしていただきたいと思います。
少しでも書をやっている方は、書かれたものから、作者の制作意図を探ることに主眼を置かれることをお薦めします。つまり作者はこれまで何を学びこの作品にはそれがどう反映されているかということです。
とはいえ、最終的には書かれた詩文と、書としての表現とがぴったりマッチしていると観客に訴える作品に出会えたら最高だと思います。
大日10・院日5 大塚順子(旧姓 木下)